
世界遺産登録の候補地となった東京都小笠原村は、アカガシラカラスバトやハハジマメグロなどの希少な野鳥が地球上でここにだけ棲む島です。しかし、人間が持ち込んだ飼育動物由来の外来種によって絶滅のおそれが出てきました。
とくに飼いネコは、野生化すれば生態系に大きな影響を与える外来種です。でも、彼らはわたしたち人間が家畜化し、数千年にわたって共に暮らしてきた家族でもあります。
東京都獣医師会は、10年以上前から小笠原のネコ対策に取り組んできました。しかし、それでもネコは野生化し、カツオドリたちの繁殖地を壊滅させ、アカガシラカラスバトを捕食しています。そして、ついに国立公園内で希少鳥類を捕食した飼い主のいないネコたちが4頭、環境省などによって緊急に保護されました。

そのとき、わたしたち東京都獣医師会は、何ができるかを考え、そして決断しました。世界の宝である小笠原の自然や人と動物の豊かな関係を守るために、このネコたちがまた人と暮らせるようにすることがわたしたちの使命だと。こうして、希少動物も飼育動物も人間も共存できる地域社会を目指して、村・都・国・民間による前代未聞の協働がはじまりました。

これまでに東京都獣医師会が小笠原から受け入れた野生化ネコは41頭。このネコたちを会員病院に1頭づつ受け入れることで馴化に成功しました。そして、この事実は小笠原の人々に大きな衝撃を与え、地域が変わろうとしています。
このシンポジウムでは、沖縄、対馬など先進地域の事例を紹介するとともに、小笠原における東京都獣医師会の活動や希少野生動物保護対策の展開を議論します。









