オウム病(Psittacosis)

感染症法:四類感染症

概要

 オウム病は,Chlamydophila psittaciを保菌する主にオウム,インコなどの鳥類から人が感染して非定型肺炎を起こす疾患に付けられた名称である.

疫学

 1930年にわが国で本病による患者が確認され,その後も散発的に患者が確認されている.1999年感染症法が施行され,四類感染症の全数報告が義務付けられたことにより,本病の実態が明らかになり始めている.本病感染者の約7割は飼育中のインコ類から家族が感染した例であるが,近年,鳥あるいは動物の展示施設における集団感染も報告されている.

感染経路

保菌動物

 野生鳥を含むオウム,インコ類等.

病原体

 オウム病の病原体であるChlamydophila psittaciはクラミジア科に属する偏性細胞内寄生性細菌である.

動物における本病の特徴

症状

 鼻汁や結膜炎,元気消沈,食欲不振,毛羽立ち,削痩,呼吸困難,漿液性滲出物や緑白色下痢便が認められるが,個体あるいは鳥の種類によって症状は様々である.成鳥は感染しても不顕性のものが多い.幼鳥は感受性が高く,発症して死亡するものや,回復後保菌状態が長く続くものがある.感染した鳥は,その後種々のストレスや他菌による感染があるたびに再発症し,その間Chlamydophila psittaciが排泄される.

潜伏期

 オウム,インコは長く,不顕性の状態で病原体を排泄し続ける.

診断と治療

 病原体の分離,遺伝子の検出,補体結合反応,蛍光抗体法により抗体の有意な上昇の確認,レントゲン検査による肝,脾の特異的な腫脹の確認をする.治療にはテトラサイクリン系薬剤が有効.餌や飲料水に添加して30~45日間投与する.

類症鑑別

 特徴的な症状が認められないため症状から本症を鑑別するのは難しい.

検査法と材料

 衰弱している病鳥の抗体価を測定することは難しい場合が多いので,検査は病原体の確認を中心に実施する.病原体の証明は分離,遺伝子の検出,蛍光抗体法により行う.いずれの検査も投薬前の糞便,目やに,鼻汁などの材料を用いる.検査材料は固形便はそのまま採取,下痢便,目やに,鼻汁は,綿棒で拭き取ったものをそれぞれ密封容器又はチャック付きビニール袋に入れて,速やかに検査所に送る.

予防

 飼育ケージおよび器材は常に清掃を行い,有機物が付着した状態にしない.定期的に洗浄を行い,その後消毒用アルコールの噴霧又は熱湯による消毒を行ったり,腐食しない器材は次亜塩素系薬剤で殺菌する.病鳥が発生したら,飼育している他の鳥への感染を防ぐために病鳥を隔離すると共に,健康な鳥にも予防のためにテトラサイクリン系薬剤を投与する.

法律

 感染症法の四類感染症に定められているが,動物における届出義務はない.

人における本病の特徴

症状

 人の感染は直接的には感染鳥との接触あるいは糞や鼻汁のエアロゾルを吸入することで起きる.間接的には希であるが人から人に経気道感染が起きる.

 不顕性呼吸器疾患,慢性呼吸器疾患,重篤な肺炎など様々な症状が認められる.

潜伏期

 吸入した菌量,個人差によって異なるが6〜28日.

診断と治療

 病原体の分離培養法や蛍光抗体法,酵素抗体法による病原体の直接証明あるいはペア血清によるIgG抗体の上昇,初期抗体IgMの上昇のいずれかを確認する.

 治療にはテトラサイクリン,マクロライド系薬剤が有効.

予防

 オウム類飼育者の数%に慢性呼吸器症状のあることが知られていることから,飼育器材や飼育場所を常に清潔に保ち,換気を良くする.鳥との過度な接触を避ける.鳥をさわった後は手を洗うなどの注意が必要である.

法律

 感染症法の四類感染症に定められている.診断した医師は直ちに最寄りの保健所への届出が義務付けられている.

(飯田 孝)

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